都市再生論│楽に儲かるほうに動くのが資本主義。賃料が都市を形成するって知ってる?

「建築はキャッシュマシーン」という事実を知る

先日学校で、株式会社スピーク共同代表 の林厚見さんの講義(全3回)を受けた。

林厚見さんは、東大で建築を学んだのちマッキンゼーに入社した経歴をもつ。

日々「かっこいい建築とはなにか?」を考えている私たち建築学生にとって、

建築を資本主義を背景をふまえて、経営的思考を理解せよという講義は衝撃的だったに違いない。学校で学ぶ建築では触れられずにいた経営絵的視点。

これからの建築のシゴトについて考えたとき見えてきたのは、私たちはこれから「職能を意識して生きていかなくてはならない」いうことでだった。

講義まとめ
  • いい空間をつくる裾野は広い (=設計職だけが空間創出ではない)
  • 建築を経営的に捉え、営業的な視野を持て (=建築論を語るだけでは建築は立たない。関係者を説得するためのロジックを持て)
  • つくりたい空間のビジョンを持て(=建築・空間をつくって人々をどうしたいのか)
  • 職能はこだわるな (=社会的ポジションを考えよ)


都市で“いい時間”を過ごすための建築・空間をつくる

社会的ポジションを考える

林さんは「職能を持て」と言う。

職能とは、建築家、アトリエ設計、組織事務所、ゼネコンといった職種ではない。

自分が求める空間つくるために活動するためのポジションを持つことだ。

例えば、それは不動産賃貸の営業かもしれない。街の片隅にあるランドリーの可能性もあるし、商業施設の宣伝部のマーケターかもしれない。

もしかしたら、建築とはまったく関係のない広告代理店かもしれないし、アプリ制作会社かもしれない。

都市をつくるのはだれか

都市を生み出す建築家と都市を知る不動産業者。どちらが都市をつくるのか。

建築論を語るだけでは、都市は生まれない。

世界的な建築家にならなければ、都市に住まう人々に響く影響力のある建築をつくるのは難しい世の中である。

ということは、現実である。

では、その時、私たち建築・都市を学ぶものはどこにいけばいいのだろうか?

空間をつくることの裾野はこんなに広い

都市再生・街づくり・建築空間をつくることを経済的に考える

建築をつくりたい目的が有名な建築家になること、でなければ、空間を提供できる業種や事例は非常に多岐に渡る。

理想論ではなく、社会で活動した事実を経営的な部分を無視せずに事実を伝える講義は、まるで本を読んでいるような感覚だった。

それらがすべて事実だからすんなり頭に入ったのかもしれない。

都市再生とは何か?都市の風景を規定する最大の要因は「賃料」という事実│都市再生プロデュース論

2018.04.29

詩的な建築論を語るだけで、施主を説得できるのか

林さんは事例を挙げながら「都市にいい空間をつくるのならば、詩的な建築論を語るだけではだめだ」と言い切った。

建築空間をつくるための費用を出す施主・開発者に、ロジカルに設計趣旨を説明し、理解を得て、設計承諾をもらえなければ建築は存在しないのである。

たとえ提案した空間がどれだけ静寂的で、どこぞの精神を飲み込んでくれるような神聖な空間だろうと、

人と人のつながりを生み出す空間であっても、どれだけプロポーション整ってたデザインだとしてもだ。

 

デザインをとは問題解決

もし、デザインを定義しなおせたら世の中の「デザインがいい=設計センスがいい」ではないことが浸透できるのではないだろうか。

私の思うデザインをアートと比較して定義する。

アートとデザインの違い

  • アート:自己表現で社会に問題提示をし、生活をよりよくする
  • デザイン:コトの問題解決を行い、生活をよりよくする

そこで、現代社会で一番身近な携帯電話で考えてみる。

携帯電話にとってデザインとはなんだったのだろうか。


携帯電話のデザインとは

90年代:技術による軽量化。
かっこよく売れるカタチを目指す
[職業]プロダクトデザイナー

10年代:アイフォン登場。
形状戦争終止符
アプリ開発やUI/UXのサービスデザインが向上
[職業]プログラマー・UI/UXデザイナー

次世代:携帯電話でなにを生み出すのか?

では、建築ではどうだろうか?

例えばこんな解があってもいいのではないだろうか。

建築のデザインとは

狩猟時代:家は人を守る存在。より効率的に、より快適にする工夫がなされる
[役割]人の生存性

農耕時代:権威者の威厳を表現する道具
[役割]国の技術力、美的装飾の多様化

近代:国力をあげるために、ベッドタウンできる。住むことが政策となる
[役割]国家政策

現代:最も大きな消費製品の一つ。生活空間という価値が生まれた
[役割]業利益・個人の幸福

次世代:現代人の生き方をよりよくするために、現状の問題を解決する一つの手段
[役割]生活の質の向上、デザイン思考の普及


 

現代人の生き方をよりよくするために、現状の問題を解決する一つの手段。

であり、生活の質の向上が望まれる建築。

それを提供できる社会的な立ち位置は建築家のほかに、なにがあるのか、何を学べばいいのだろうか。

建築デザインを経営的・営業的な視点で考える

建築が好きな人は豊かな感性を持っているし、それを具現化するための設計能力があるにもかかわらず、

実現化するための社会的リテラシーがほぼ全くない。

と林さんの発言の中から少しアグレッシブな部分をあえて抜粋した。

働きながら夜間の建築の学校に通っている私にとって、この一言はあまりに重たかった。

一度社会に出てから改めて学校に行った身として、建築学校の設計主義な部分には違和感を感じることが多々あった。

「自分の設計をしたい=設計職に就く」ことがゴールになっている人が大半なのである。

設計とは、問題解決だ。自己表現ではない。

問題解決するためにカタチを決めるだけでは、物事は動かない。

都市をカタチづくるのは賃料

これは林さんの講義でも「都市の風景をつくり出すのは誰か」というテーマでデベロッパーと賃料の話があった。

賃料は、学生から社会人になって感じた”溝”の一つだ。

いい空間をカタチづくる訓練は行うが、いい空間をつくるための知識や教養は学べない。経営的な視点がごっそり抜けている。

建築業界ではなく一般社会がもつ建物への要求は「いいもの」ではなく「収益をあげる」ことを知らないまま世の中に出る。

なんだかもったいない気がする。

経営的視点を学べる場所はごく一部

その溝を感じ「もしかしたら私の学びが足りないのかも」と思っていたのだが、どうやら経営的視点での建築思考をカリキュラム化する学校はごく一部なようだ。

まだ一般的ではないのが現実のようだ。

▽関東学院大学

▽社会人向け

創造系不動産スクール | 創造系不動産
創造系不動産株式会社は、建築と不動産のあいだを追究します。

建築設計の授業では得られない。自分自身で社会的なリテラシーを埋めるしかないと気づいた。

だから林さんの講義は本当に貴重だと感じた。

「都市をおもしろくする」ことを考えたとき、現状の面白くない背景を考える。そこで渡り合える知識を得る選択肢。

林さん自身が出した答えが、建築から最も遠い商社だったというのが面白い。

つくりたい空間?そのためには何が必要か。

建築を動かすためにはお金の話が否が応でも付きまとう。

それを解決または説得できるだけのロジックを持ていなくてはなにもすることができない。

かっこいいデザイン、奇抜な発想、豊かな空間を実社会に落とし込むために、建築教育の現場に社会リテラシーが浸透してほしい。

職種にはこだわるな

社会経験も浅く、建築に伴う実績もない齢26の私が、
「デザイン思考で社会を多方面からよくしたい」と声高に言ったところで私は今建築家でも、役所仕事をしているわけではない。

客観的に社会の中での立ち位置を考え、実践し、得意分野を広げるしかない。

自分のつくりたい空間のビジョンを持つこと。

そして自分の得意な分野で、いい空間をつくることをすること

この2つを常に考えることが私にとっての建築デザインだと気づいた。

・・・

夜間の学校で建築を学びつつ、不動産に身を置く私にとって、講義の内容はあまりに本質的だった。

講義中ずっとにやにやしていた。

実績を重ねた経験者がそれを論じるとき、説得力のほかに、苦労したこと、悩んだこと、思いもかけなかったことも感じられる。

まるで映画を見ているようで、つい楽しい気分になってしまった。

・・・

もし建築を設計するための視野を持ち、建築デザインを学んだ人々がより多くの業界で活躍したら、

きっとこの都市は、きっと、もっとよくなるに違いない。

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