シェアハウスでもゲストハウスでもない。住み開きのお宅に遊びに行ったら、実写版ドラクエ世界だった│ギルドハウス十日町

限界集落にある、築100年の古民家「 ギルドハウス 」を訪ねた話

5月のある晴れた週末。 私は新潟県十日町にある、一人の個人邸を訪ねた。

築100年以上の古民家。ここの住民である西村さんたちとパーリー建築という青年たちたちがセルフリノベーションで改修したという。

専門学校を卒業したての若者が確立した自給自足型の建築手法│ パーリー建築

2018.03.17

 

100年分の空気を吸った民家は、よく晴れた新緑のまぶしい5月の抜けた空に反して、どっしりと構えた雰囲気を持っていた。

チャイムを鳴らし、恐る恐る、ドアを開ける。

「いらっしゃい、よく来たね。」とゆっくりと落ち着いた話し方で、挨拶してくれたのは、 オーナーの西村さんだ。

奥に通してもらうと、少し薄暗いリビングに4つのこたつが一列に並べられ、年齢の近い4,5人の男女が思い思いに過ごしていた。

 

実は、私と西村さんまったく面識がない。が、西村さんちは、知らない人が遊びに行っても怒られない。

「いらっしゃい、よく来たね。」 の一言で迎え入れてくれる。

その理由は、西村さんちは「住み開き」という住み方をしているお宅なのだ。



シェアハウスでもなくゲストハウスでもない、住み開きとは

「住み開き」と聞いて、イメージできる人はどのくらいいるのだろうか。

シェアハウスとは、1軒の住居を複数人で共有することである。

ゲストハウスとは、訪問者のための宿泊施設・簡易施設である。

では、住み開きとはなんなのだろうか。

 

「住み開き」とは、

個人の住んでいる場所の一部を、無理せず自分のできる範囲で、自分の好きなことをきっかけに他人にちょっとだけ開いていること。

引用:『住み開き = sumibiraki : 家から始めるコミュニティ』(アサダワタル著)

例えば、自宅で子どもが独立してできた空き部屋や、事務所の空間、改築によってできたスペースをカフェやギャラリーなどとして、近隣の人たちにスペースを開放する。

私設博物館や私設図書館、自宅で開かれている教室、 シェアハウスのリビングなど、いろんな「住み開き」がある。

このプライベートなスペースを少しだけパブリックにする「住み開き」が提唱されるようになったのは、2010年頃。

住み開き 家から始めるコミュニティ』、『 コミュニティ難民のススメ 表現と仕事のハザマにあること』 の著書であるアサダワタルが提唱しだしたのがきっかけで広がった住み方の概念の一つである。

 

新潟県十日町にある「 ギルドハウス 」という西村さんちについて

自分の住まいにギルドハウスという「名前」と「コンセプト」をつけた

新潟県の十日町市(とおかまちし)にて、2015年5月に立ち上げた《住み開きの古民家「ギルドハウス十日町」》。

その名の通り、いろんな冒険者がやってきてはここで経験値をためてレベルアップし、さらには冒険の仲間も得られるような拠点になっています。

西村さんちは、ギルドハウスと呼ばれ、現在12人の住民がいる。

ギルドハウスとは「職業を持った人達が寄り添い、 共に生活する場にする」という想いを込めてられているそうだ。だから、西村さんは家主として「ギルドマスター」と名乗っている。

シェアハウスの同居人でもなく、ゲストハウスのお客様でもなく、 西村さんと一緒に住んでいる住民たちだ。

そして、よく旅人が現れては滞在していくという。新潟県の豪雪地帯で、限界集落にも関わらず、述べ6000人以上の人が訪れたそうだ。

「一緒に住んでいるのだから、シェアハウスなのでは?」「滞在しているのだから、ゲストハウスなのでは?」といった考えを持つのが当然だろう。

私自身、ネットやSNSで事前に情報取集してはいたが、当日行くまでいまいち理解できずそう思っていた。

行ってみて、よくわかった。

ここは西村さんの「個人の家」であり、西村さんの家に共同して生活したり、お邪魔させてもらったりしているのだ。なぜだか、そんな当たり前なことに気づけなかった。

 

限界集落で個人宅を開く理由

このギルドハウスについては、西村さんご自身がnoteやFacebookなどに詳細に書かれている。ほぼ原文まま引用する。

▼なぜ住み開きなのか/ゲストハウスではないのか?

なぜギルドハウス十日町を立ち上げたのかと、よく聞かれます。ひとことで言えば、《死ぬまで楽しく暮らせる家》となるよう自分本位で立ち上げた住まいです。

自分の住まいに名前とコンセプトを付けて、共同生活の場にしました。おかげで雪おろしをはじめとする家事などで大助かり。あらゆる物事をシェアすることで、生活費も安くなります。

そうした住まいを末長く維持するために、《住み開き》をしています。

いつでもだれでも来ていいですよ、と開放したら、地元の人たちはもちろん、全国・海外からいろんな旅人がやってくるようになりました。

引用リンク:新しい住まいの形。ギルドハウス十日町に『ノービス』を新設し、募集を始めました。

▼シェアハウスではないのか?

うちはいわゆるシェアハウスではありません。非営利の、つまりは個人宅。

だから住人との間に賃貸契約を結びません。ひとりひとりが無理のない範囲で生活費を出し合い、好きなだけ住むことが可能です。

引用リンク:環境を変えればいいっていうけど、それだけじゃ何も変わらない。

 

古民家はそもそも住むためのもの

今まで、古民家を利用したいと言えば、それは営利目的で商業ベースな話であった。

それは、もちろん資本主義のこの世の中でやっていくには、古民家を手に入れ、修繕をし、生活費用を生み出すには、どこかで収入を得なくては成り立たない。

しかし、ギルドハウスは西村さんが共同して生活している「だけ」なのだ。

「うちのリビング、めっちゃ広いから、一緒に住めばいいんじゃない?」それくらいの感覚に、私は捉えられた。

「そのかわり雪かき手伝ってね」「夕飯つくるの手伝ってね」というスタンスなのだ。

 

「ソーシャルな隠居」という現代の住まい方に触れて気づいたこと

他人と住む共同生活での距離感は人それぞれ

私が訪れた日は、偶然、 住民の一人がギルドハウスを卒業する(出ていく)とのことでお祝いに焼肉パーティーをする日だったそうで、夕飯をご馳走していただいた。

その日は、リビングに女性2人と男性4人がいた。その他にも、チラと見かける人が2,3人いた。多分、ほかの住民の方なのだろう。

私のような知らない人がリビングでごはんをしていても、 よくあることなのだろう、気にもされなかった。そして、この夕飯時を一緒に過ごす過ごさないは自由なようだ。

私はよそから来た滞在者だったが、まるで親戚家族のような、志の近い大学の友人と合宿をしているような、不思議な時間を過ごした。

小学生のころに友人の家で楽しい時間を過ごしているような、私にとっては和やかな時間だった。

食後に、おのおの自由に過ごしている住民たち。ネット配信サービスで映画を見る人、SNSをする人、スプラトゥーンをして遊ぶ人。自由気ままさがいい。

「そりゃ、生活なんだから」と言われたらそうなのだろうが、東京で一人で暮らしている身としてはほど良い距離感であった。

 

インターネットが普及した今、出会いは都会だけがすべてじゃない

西村さんは、もともとは東京で仕事をおり、あるとき、その忙しい生活を省みたときに「このままでいいのだろうか」と疑問を持ったそう。

そして、会社を辞め、旅をしたという。そのなかで多くの人と出会い、話し、多様な価値観に触れ、 そして、出た答えがギルドハウスなのだそうだ。

現在の生活スタイルを西村さん自身は「ソーシャルな隠居」と呼んでいる。

西村さんに、「どんな人がギルドハウスに来るのか?」と尋ねてみると、住人のほかに、建築やまちづくりに携わる人、コミュニティデザインをしている団体の人、古民家利用を考えている人、社会人間学を研究している人などがいるという。

十日町市という、限界集落に暮らしているにもかかわらずいろんな人たちと出会い、新しいことを常に考えて発信している西村さん。

現代ならば、たとえ限界集落でも、日常的に新しい人がやってくることでコミュニティの新陳代謝があり、新しく入居する仲間が次々と現れる自宅にすることだってできてしまうことを肌で感じた。

「なにか、おもしろいものがある」

それだけで、私はギルドハウスを訪ねてみたいと思い、行けてしまうし、受け入れてくれる場所「ギルドハウス」がある。

こんな世の中だから、同じようなアンテナや生活スタイルを求めている人たちがふらっと西村さんちに遊びにいけるのだと思うと、おもしろい。

環境も雰囲気もゆるく見せているが、実際つくるまでの気概と行動力を考えるとすごい場所

西村さんに実際あってみて、会話をして一番強く思ったことは、西村さんが発する一言一言が、 自分の言っていることを確かめるようにゆっくりと丁寧に受け答えをしてくれているように感じ、非常にここちよかった。

どこか安心出来るトーンの話し方をされる方だった。

ギルドハウスは西村さんちなのだから、こういうのもおかしな話なのだろうけれど、ギルドハウスはまるで西村さんの人間的な温かさを体現したようなお宅だった。

大地の芸術祭の里・新潟県十日町市【ギルドハウス十日町】住み開きの古民家で地方に移住! – Colish でコンセプトのあるシェアハウス生活はじめよう
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正直、西村さんと会話をしたくて、 また行きたいなぁと思う自分がいる。

個人と個人たちが一つ屋根の下で、生活している。その家が管理されたシェアハウスでも、商業的なゲストハウスではなく、たまたま個人の家だったという話。

▼ギルドハウス・ギルドマスター西村治久さん noteまとめ
・ギルドハウスFacebook

・「ソーシャルな隠居とは」
・「隠居の内緒ばなし」

▼十日町ギルドハウスを改修したパーリー建築について知りたい

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▼「ギルドハウスって、名前かっこいい!」と思った人はこちら

 

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4 件のコメント

    • ありがとうございます!兵庫でしょうか?
      パーリー建築から兵庫の話はまだ一度も聞いたことがなくて、実は知らないんです><
      どんなところか興味あります!

  • そうです!福住というところなのですが、そこは伝統的建造物群保存地区というところでして、町並みも素晴らしいので是非お越しください笑

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