東京 を因数分解するための要素を学ぶ古典的名著│書籍紹介

私たちが生きる都市とは、いったいなんなのだろうか。

当たり前に過ごしている 東京。

 

私たちが当たり前に生活している都市という大きな空間を、

建築や表層といった構造的に、もしくは江戸から続く歴史的時間の連続性によって、分解し都市を構成している要素を知るためにのてがかりになる書籍4選。

 

「都市」という大きな白い布にくるまれた単語、を一つ解像度をあげて見るためのヒントとなる書籍たち。

東京という雑多な都市を面白がる<文脈>を知ることができる、ブラタモリの原点となる都市論。

モノ事や事象がどのように成り立っているか本質を考え方、都市を因数分解するための<因数>について知ることができる教科書的、古典的著書。

正直言って、すべて名著。



東京 の空間人類学│陣内秀信(1985年)

東京は、関東大震災と第二次世界大戦による戦災、そして高度経済成長期の破壊と改造で、比較的新しい都市だと思われている。

「江戸とはまったく異なる都市になった」と思われがちだが、陣内は本書の中で「東京」に対して江戸、明治、昭和と続く<時間的連続性>を指摘した。

雑多で無秩序に見える「東京」には、<山の手><下町>、<水の辺><山の辺>という両義的な空間、

現代にいたるまでの<近代化・文明開化><戦後高度経済成長><ポストモダン>という時間の系譜が多重に入り組んでいる。

何気なく過ごしている「東京」は、東京を構成している<地域による特徴>を細やかによくよく一つずつ見てみると、

無数の文脈と小さな秩序がモザイク状に入り組む、非常に面白い都市であることをこの書籍は教えてくれる。

東京を当たり前に消費している人、山手線になんとはなしに利用している人に、東京を改めて見るためにぜひ読んでほしい1冊。

目次
1.「山の手」の表層と深層
2.「水の都」のコスモロジー
3.近代都市のレトリック
4.モダニズムの都市造形

 

見えがくれする都市│槇文彦(1980年)

槇文彦の「奥の思想」を軸としたアーバンデザイン論。

都市や建造物とは、人間集団がもつ深層意識が時間を超えて造形する対象であると仮定し、<何ものか>が社会に共有している集団の記憶を呼び起こすものと本書では仮定している。

この<何ものか>というのが、東京を構成している要素である。因数分解するための因数。

簡単に行ってしまえば、<道の曲がり方>や<奥に進んでみたくなる路地>。あるいは<家屋や植栽の並びが生み出す街並み>

見慣れてはいるけれど、見向きをしなかった要素がどのように都市の中に複雑に存在しているかを研究し、まとめたのがこの文書である。

副題に「江戸から東京へ」とあるように、複雑な地形をもつ江戸の街がその自然条件の上にどのように都市を形作ってきたか、

またそれが現代の東京の中にどのように潜在しているのかについて、様々な視点から分析し、示唆に富む論を展開する。

明治の東京計画│藤森照信(1982年)

明治維新以降の東京の町づくりについて、誰がどんなことを考え、何が実現したかが事細かに書かれている。

銀座の煉瓦街、市区改正計画、官庁集中計画の3つの切り口から論じられているのだが、いずれも紆余曲折・錯綜・混乱した計画であり、じっくり読んでいかないと混乱してしまう。少し難解め。

流し読みはできないのと、ある程度の都市計画の知識がないと読み進めるのは難しいように感じた。

しかし、ある程度都市論を学ぶ上で、政策とは切っては語れないことに気づいたら、結局はこの本を読むことになるはずだ。

東京を森と見立て、森は様々な傾斜地から成り立つものだと説く。

<山の手の住宅地>、<丸の内のオフィス街>、<下町の商店街>や<海辺の工業地帯>。

これらを、誰が、何を夢を見て作り出したのか。藤森照信独特な口調で、描く東京論。

目次
1.開花の街づくりー銀座煉瓦街計画
2.江戸火事をこえてー明治10年代東京防火計画
3.都市計画の嫡流ー市区改正計画
4.大礼服の都ー官庁集中計画
5.東京の礎

番外編│世界の都市の<文脈>を知る

街並みの美学│芦原 義信(1983)

世界を旅した時に感じる都市や空間概念が日本の概念と異なるその理由を、都市の中から抽出し、分解した書籍。

地理的条件や気候風土、宗教、歴史の違いと同じくらいに、都市概念や空間概念は街並みを構成する要素の一つである。

そういったものは意外と身近なもので「ヨーロッパでは屋外も家の中の延長である」とか「日本の町の景色を袖看板が台無しにしている」とか、

「北海道の湖は、俯角が確保されている場所が多く、美しく見えるのだ」といった話をもとに、

<建築の内と外><城壁><街路><広場><建築の外観>などの共通項としてまとめている。

難しい単語が出ても、読み飛ばしても問題ないような構成になっているので、建築に興味のある高校生に読んでほしい1冊。

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