公共空間を素敵空間に!活用までのロールモデルがわかる教科書「 公共R不動産のプロジェクトスタディ」│書籍紹介

公共空間を素敵な空間にするのに、必要なことは「小さく試してみる」

「公共R不動産」とは、使われなくなった、もしくは今後使われなくなる(使用停止)公共空間の情報を全国から集め、それを買いたい、借りたい、使いたい市民や企業とマッチングするためのウェブサイトだ。

公共R不動産:https://www.realpublicestate.jp/

このサイトは2015年にR不動産の運営を手掛ける馬場正尊が立ち上げたものだ。

馬場は、OpenAという設計事務所で建築設計を基軸にしながら、不動産やメディアに関する運営を行っている。

今回の書籍は、そのうちの一つの活動であるR不動産から派生した公共R不動産が、今まで携わった案件や世界的に注目されている公共事業。

また、スタッフたちが独断と偏見で面白いと思ったものを収集し分類し、取りまとめたのが『公共R不動産のプロジェクトスタディ』だ。



公共空間に関するポートフォリオ

『 公共R不動産 のプロジェクトスタディ』は事例集だ。

言ってしまえば、古今東西、田舎も都会も併せて多数のプロジェクトを具体的に紹介している。

それらを視点のフェーズを1つあげ、集約しなおし、独自の視点で分類したのが、各章のタイトルに落とし込まれている。

引用:公共R不動産

1部│公共空間を使う4ステップ

1.風景をつくってみる_社会実験
2.仮説で使ってみる_暫定利用
3.使い方を提案する_サウンディング
4.本格的に借りてみる_民間貸付

1部では、公共空間を使う4ステップと題し、公共空間を変えるのにいきなり作るのではなく、まずは試してみる話を何度も繰り返す。

「まずはやってみる、そこから考える」のボトムアップ的設計方法

規制や条例との利害対立を緩和するには、社会実験という方法がある。

公共空間を活用するときに時代遅れなルールや基準が曖昧なとき、場所や期間を限定して試してみることで、そのルール自体を問い直すきっかけとなる。

風景をつくってみてしまうということ自体が、公共空間の活用方法への直接的なアプローチである。

いきなりつくらず、まずは、試してみる。まずは、意見を聞いてみる。

大きなハコを準備して、「では、この公共施設を使いたい人どうぞ」ではない、ソフトとハードの一体受注を行うための一歩が1部には記載されている。

何に使えるか、どうやって使いたいかをまず考えてからハードの設計をする。

なにを当たり前なことを?と思うかもしれない。

時代が変わると当たり前、社会は変化する。今の当たり前を当たり前にできていないのが現状なのだ。

 

2部│公共空間をひらく3つのキーワード

5.シビックプライドをつくる―オープンプロセス
6.領域を再定義する―新しい公民連携
7. “公共“を自分事にする―パブリックシップ

つくるだけ、つくったらおしまいではなく、その空間の運営方法までデザインが必要な公共空間だからこそ生み出された3つのキーワードだ。

2部では、どの事例もプロジェクトを進めながら手探りで、試行錯誤したのだろうと想像できる3つのキーワードが並んでいる。

 

「シビックプライド」「新しい公民連携」「パブリックシップ」って、なんなんだ。

あまり聞きなれない言葉が並んでいる、第2部。

「シビックプライド」とは、公共空間をつくる方法、過程を多くの人に知ってもらうことで、その場所に関わるきっかけをつくり、そして、その場所の良さを知って貢献したいという共感を指す。

つくるプロセスを開示することで、市民自身が公共空間を与えられるだけではなく、つくり運営する人が現れるかもしれない。

そんな「シビックプライド」をもった市民が作り上げた事例を紹介している。
IKEBUKURO LIVING LOOP | 都市を市民のリビングへ 

 

「新しい公民連携」は「公共施設だけど…そんなのいいんだ?」という事例、要は少し変わったものが集められている。

行政の施設なのに、マンガを置く施設ってちょっと変わっているよね!

とか、

公共空間を利用するのを行政がやると「平等性」や「公平性」に縛られて、面白いものを実施できなくなりがちなのため、行政とは別に運営の権限を委託した「村長」というポストを作ってみたよ!

といった事例などが記載されている。

引用:公共R不動産

『公共R不動産のプロジェクトスタディ』が公共施設の有効活用の教科書というのは、たくさん事例が載っているのはもちろん、

行政と民間の関係性や、運営方法・委託受注の関係を図示して、文章だけでは把握するのが難しい部分を丁寧にすくい上げているからである。

公共施設の運用方法や行政の規制など、専門的な知識がなくても読める。

初めて読む人でも読めるように作られている本のことを教科書という。巻末に索引もある。完璧だ。

 

「パブリックシップ」とは、公共を自分事にするという意味だ。

公共空間は今まで、行政が作ったものが一方的に与えられるだけであった。

公共空間をつくるのは行政だけはない4つの事例がをまとめられている。

「どうしたら活用されやすくなるか」

「どうやったら運営が続けられる仕組みができるのか」

そんなHOWに関わる事例を何とか苦心して、グループ分けをして名前を付けて、事例として紹介している。

 

建築空間デザインを「かっこよくつくる」想いを大切にしながら、公共空間の活用を考える

次に変革すべきは公共空間だと気づきRePUBLIC 公共空間のリノベーションという本を書いたのが、2013年。

その時は、「公共空間がこんなふうに変わればいいのに」という理想のスケッチを無邪気に提案した、まるごと企画書のような本でした。

幸いなことに、5年が経過した今、そのスケッチのいくつかは実現しています。

この本の著書の一人である馬場は、3年前を振り返る。

日本は、不思議なもので「みんなでやろうぜ」と流れができると堰を切ったように、加速的に物事が進み、大きなムーブメントになる力がある。

今、日本の公共空間は大きな潮流の真っただ中だ。

その波を丁寧に一つずつ紹介した、公共R不動産の軌跡、3年目の帰着点としての1冊である。

また、3年後にこの本を読み返すとき、きっといくつかは市民にとっての当たり前になっているかもしれない。

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